東京都金属プレス工業会では、2025年度「中小企業組合等新戦略支援事業」の特別支援枠「デジタル技術を活用した販売力強化プロジェクト」の一環として、㈱DX経営研究所の協力のもと、会員企業のDX認定取得に向けた支援プログラムを開始しました。
この支援は、「DX認定制度」に基づき、企業がデジタル変革を推進する体制や戦略を整備し、認定取得を目指すプロセスを専門的にサポートするものです。この制度の中核には、戦略的な指針である「デジタルガバナンス・コード」が位置づけられています。これは、企業がDXを推進するために整備すべき経営方針や体制を体系的に示したものであり、DX認定制度の審査基準の根幹を成しています。企業はこのコードに準拠することで、経営戦略とデジタル施策の整合性を確保し、持続可能な価値創造と社会的信頼の獲得を目指すことが求められます。
支援プログラムは、導入編としてのトライアルセッション1回と、本編7回のオンラインセッションで構成されています。初回のトライアルでは、DX認定制度の背景や意義、申請の流れなどをわかりやすく解説し、参加企業は制度への理解を深めました。今後は、DX戦略の策定、推進体制の整備と自己診断、戦略の浸透状況の整理、DX投資計画の策定、セキュリティ対策の実施、申請書類の作成・提出、そして認定後のフォローアップへと進んでいきます。各回では、申請書類の作成支援や企業ホームページでの情報公開に関する助言も行う予定です。
認定取得に向けたプロセスでは、まず企業の経営ビジョンやパーパス(企業の存在意義)を明確にし、それに基づくDX方針を策定し、社外に発信することが求められます。次に、経営との整合性を踏まえた推進体制と具体的施策を含むDX戦略を構築し、その内容を公表します。その戦略に基づいて実行計画を立案し、KPI(重要業績評価指標)を設定したうえで、指標と計画を明示します。さらに、実行状況を定期的に評価し、その進捗と成果を外部へ向けて開示することで透明性を担保します。
今回のプロジェクトには6社の会員企業が参加しており、そのうちの1社である㈱山本工場を10月31日に訪問しました。同社は金属塑性加工一筋で100年の歴史を誇る企業です。初回面談では、経営理念やビジョン、現状の業務フロー、DXに対する意識などを把握するためのヒアリングを実施しました。併せて、IT導入状況や改善活動、教育体制など、既存の取り組みについても丁寧に確認しています。
工場現場の視察では、製造ラインの実態に加え、作業指示書や工程管理表などの帳簿類を参照しながら業務フローを把握しました。山本社長からのご説明とも照らし合わせることで、現場における改善の余地やデジタル化の可能性を具体的に捉えることができました。
初回面談で得られた知見を踏まえ、次回(11月13日)は「DX戦略の策定」をテーマとしたオンラインセッションを実施する予定です。



