AI特需続く台湾の輸出額、10月は単月最高額を記録

台湾特派員:諸治隆仁

 

 台湾の輸出が絶好調だ。台湾・財政部が2025年11月に発表した同年10月の輸出入貿易の暫定統計(速報)によれば、10月の輸出額は 618.0億米ドル(1米ドル=155円で換算すると、約 9兆5,790億円)で、単月最高額を記録。前月比13.9%の増、前年同月比では49.7%増、金額で見ると前年同月に対して205.2億米ドルのプラスとなった。この好況を牽引していたのがAI関連製品。輸出増加分205.2億米ドルのうち159.7億米ドルが、AIサーバー関連製品を含む「情報通信および視聴覚製品」によって占められていたことからも台湾の輸出はAI特需と言える状態になっているという状況がわかる。

今年で8周年を迎えたAI関連専門展で注目されたアプリ

経済部が展示した多言語の翻訳機能を持った
対話型AIシステム(AIoT Taiwan)

 台湾で2025年に開催される産業関連の展示会は10月22日から24日まで、台湾南港展覧館において開催された「TPCA Show」「TAITRONICS(台北国際エレクトロニクス見本市)」「AIoT Taiwan(台湾国際AIoT見本市)」の3つの展示会で全日程を終了した。「TPCA Show」は電子基板や電子実装、パッケージング、電子回路製造機械・装置のほか、プロセス材料に関する技術・製品が紹介される展示会。今年で25周年を迎えた。主催はTPCA台湾電路板協会。一方、「TAITRONICS」「AIoT Taiwan」の2つの展示会は中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)と台湾区電機電子工業同業公会(TEEMA)の共催。最先端の電子・AI・IoT・5G関連製品・技術が集結。「TAITRONICS」は今年で50周年、「AIoT Taiwan」は8周年を迎えた。

「TPCA Show」でも注目されていたのはAI関連。新設された特別ゾーンの一つ「スマートマニュファクチャリングソリューション」ではAIを活用した欠陥認識ソフトウェアをはじめとする生産ラインの全自動化実現に向けた新技術が紹介された。「TAITRONICS」「AIoT Taiwan」では経済部産業発展署 (IDA) が多言語の翻訳機能を持った対話型AIシステム、視覚センシングソリューションなど、多様な革新的アプリケーションを展示。このほか、台湾においてAIチップ技術と応用に関して最も影響力のあるプラットフォームのAI-on-Chip Taiwan Alliance(AITA: AIチップ台湾アライアンス)は同団体が推進する「AIチップ応用」「AIシステムソフトウェア」などの分野における研究開発のロードマップや最新の技術動向を紹介した。

AIチップ台湾アライアンスの展示ブース(AIoT Taiwan)

 10月の3つの展示会だけでなく、今年、台湾で開催された多くの産業関連展示会でAI関連の技術・製品・サービスが注目され、活発な商談が行われていたという。台湾のAI特需はまだしばらく続きそうだ。

ようやく動き始めたNVIDIAのアジア拠点建設計画

 AI向け半導体メーカーであり、世界中からその一挙一動が注目される企業、米NVIDIA。今年2025年5月に開催されたコンピュータ関連の展示会「Computex」の基調講演で、同社の黃仁勳(ジェンスン・ファン)CEOはアジア拠点建設計画を発表。台北市北部、士林区にある北投士林科技園区(北士科)に建設予定とした。その場所は台湾の保険会社、新光人寿が2021年11月、50年間の地上権を取得していた総面積約3.9ヘクタールのT17、T18と呼ばれる2つの区画であることが即座に特定されたのだが、この区画を巡って、先日まで、台北市政府、新光人寿、NVIDIAの3者は大きな問題に直面していた。

 新光人寿とNVIDIAは2025年5月に開催されたComputex以前から、この区画の地上権契約を直接移転するという方法で合意していたとされる。しかし、新光人寿から報告を受けた台北市政府は新光人寿が建物の建設を完成させたあとでなければ地上権の移転はできない、として新光人寿の計画を却下。一方、NVIDIA側も建物を自由に建設したいと考えていたことから、新光人寿が建設した建物の権利を移転するという提案には同意しなかった。そのため、NVIDIAのアジア拠点問題は大きな暗礁に乗り上げてしまった。

「NVIDIA Constellation」建設予定地(台北市士林区)

 最終的な解決策となったのは台北市政府と新光人寿がT17、T18区画に関する地上権契約を解除し、その後、台北市政府とNVIDIAで地上権について改めて契約するという方法。新光人寿は10月下旬、地上権を持つ台北市政府からの提案があった土地解約の求めに応じると発表。11月に入り、台北市側が新光人寿に対して解約金を支払うことで合意が成立した。両者の解約合意によって、T17、T18区画の地上権はNVIDIAに移ることとなる。

 今後は台北市政府と新光人寿が契約解除金についての交渉が行われ、スムーズに進めば、来年に市政府とNVIDIAの地上権契約が締結され、アジアの拠点「NVIDIA Constellation」の建設が始まる。台湾の産業と聞いて多くの人がイメージする半導体。その半導体製造装置と周辺機器の最新技術・製品、サービスが一堂に会する専門展示会「SEMICON TAIWAN 2025(セミコンタイワン)」が、2025年9月10日から12日まで、台湾・台北市南港区の台北南港展覽館1・2館で開催された。

 30回目を迎えた今回のセミコンタイワン、主催者であるSEMIの発表によると、65カ国から過去最高の1,200社以上の企業が参加し、4,100のブースを展開。来場者数は3日間で10万人を超えた。