運転席には誰もいない!シリコンバレーを走るゴーストタクシー

アメリカ特派員 今西三千絵

 こんにちは、カリフォルニア州北部のシリコンバレーで働く30代女性筆者です。

 普段、アメリカでの移動手段としてメジャーなのはUberやLyftといったライドシェア。これらは日本でいうタクシー配車アプリ「GO」のような存在だ。そこに対して、ここ数年で急速に存在感を増しているのが完全自動運転タクシー、”Waymo(ウェイモ)”である。添付の動画をご覧いただければおわかりの通り、運転席には本当に誰もいない。

ひときわ目をひくWaymo広告、カリフォルニア州サンノゼ空港のターミナルにて

自動運転タクシー、Waymoとは

 WaymoはGoogleの親会社Alphabetが展開する自動運転タクシーサービスだ。サンフランシスコ、ロサンゼルス、フェニックスなどから始まり、2026年2月にはダラスやヒューストンなどが加わって全米10都市に拡大、累計2000万回以上の乗車を達成した。筆者の住むベイエリアでも昨年末にサンノゼまでエリアが延伸され、高速道路での走行も解禁された。

 車両は英国の高級車ブランドJaguarのI-PACE(電気自動車)。屋根上でクルクルと回るセンサが特徴的で、LiDAR(レーザーで周囲の3D情報を取得するセンサ)、カメラ29台、レーダーを組み合わせ、360度・最大500m先まで周囲を検知する。ピックアップ時には屋根上のライト部分に自分のイニシャルが表示されて迎えに来てくれる。

Waymo車両。車両前方・後方のあらゆる箇所にセンサが
搭載されている
乗車中のアプリ画面。空調からオー
ディオ設定まで自由にカスタム可能

 アメリカ人の同僚いわく、“チップも払わなくていいし、車内はきれいだし、運転手とおしゃべりする必要もない。Uberよりむしろお得”とのこと。車種はUberではまずお目にかからないJaguarの高級SUVだけに、乗り心地も上々だ。もちろん自動運転ならではのハプニングもある。ピックアップ位置が絶妙にズレてしまい、”どこ?”と探すハメになったり、ドロップオフ場所を見つけられず、しばらく同じ場所をウロウロしたり。また、数年前、導入されたばかりのWaymoを試した別の知人は、マゴマゴするWaymoを止めることも降ろしてもらうこともできなかったらしい。

 しかしこうしたトラブルは多くのテスト走行を経て格段に減ってきている。車内はカメラで常時監視されており、万が一の際にはリモートの担当者が状況を判断し、車両にガイダンスを送って対処する仕組みだ。

日本国内での展開はいかに

 実は日本での展開も着々と進んでいる。Waymoは日本No.1のタクシーアプリを展開するGO、東京最大手のタクシー会社である日本交通とパートナーシップを締結。2025年春より東京都心の港区・新宿区・渋谷区など7区で、まずは日本交通の乗務員による有人走行でデータ収集を開始した。左側通行や東京特有の道路環境への適応を経て、商用サービスの開始が見込まれているそうだ。

出典:https://waymo.com/intl/jp/waymo-in-japan/

おわりに

 ますます拡大が見込まれるWaymoに対し、競合も現れている。Amazon傘下の”Zoox (ズークス)”は、ハンドルもペダルもない箱型の専用設計ロボタクシーで、サンフランシスコとラスベガスにて無料乗車を展開中だ。もはや一般的な自動車の形をしている必要はない、と言わんばかりのこの外観は、完全に未来そのものである。Waymoが既存の高級車を改造するアプローチなのに対し、Zooxは車両そのものをゼロから自社設計した。前後の区別がない対称形のボディ、向かい合う4席、大容量バッテリーによる長時間稼働。「人が運転する車」の延長線上にないからこそ実現できた設計思想だ。2026年中の有料化を目指しており、自動運転タクシーの競争は新たなフェーズに入りつつある。

サンフランシスコ市街地を走るZooxのロボタクシー (出典:https://zoox.com/)