東京都金属プレス工業会の改正下請法対応へのロードマップ

 東京都金属プレス工業会では、2026年1月に施行される改正下請法(新名称:中小受託取引適正化法)への対応として、会員企業の実務力強化と制度理解の促進を目的に、段階的な支援体制の整備を進めます。まず、改正法の趣旨と実務影響に関する周知活動を本格的に開始します。法改正の背景や目的、企業に求められる対応内容を明確に伝える説明会や資料提供を通じて、とくに中小企業における現場対応力の向上を図ります。契約条件の電子交付義務化や価格交渉記録の整備義務など、実務に直結する変更点が多いため、早期の理解と準備が不可欠です。

 契約書式の見直しについては、2025年12月までに改正法の条文および関連ガイドラインを精査し、契約書に反映すべき法令要件を整理します。これを踏まえ、2026年1月までに既存契約書式の棚卸しと改正法との整合性確認を進め、製造委託や加工委託など頻用される契約類型を中心に優先的な見直しを行います。2026年2月には、改正法に準拠したモデル契約書のドラフトを作成し、条項ごとに目的や背景、実務上の留意点を注釈として添えることで、現場担当者が理解しやすい構成とします。モデル契約書はWord形式で整備し、複数の契約類型に対応できるようパターンを用意します。

 続いて、外部の法務専門家によるリーガルチェックを実施し、会員企業の実務担当者からのフィードバックを反映した修正を加え、2026年3月中には確定版を完成させる予定です。モデル契約書の提供後は、契約書作成や見直しに関するセミナーを開催し、現場での理解と活用を促進します。また、電子契約ツールとの連携方法や運用ルールについても併せて案内し、電子交付義務への対応を円滑に進められるよう支援します。

 価格交渉記録の整備については、2026年2月から3月にかけて、交渉履歴の記録方法やフォーマットの提供を開始します。記録項目には、交渉日、交渉内容、合意事項、担当者名、証跡(メール等)などを含め、記録の信頼性と保存性を確保する運用ルールを併せて提示します。さらに、契約条件の電子交付義務化に対応するため、2026年3月末までに電子契約サービスの導入支援と運用マニュアルの整備を完了させ、法施行時点で円滑な電子契約運用が可能な体制を構築します。

 東京都金属プレス工業会では、改正法への対応を単なる制度順守にとどめず、会員企業の取引の公正性と透明性を高める契機と捉え、実務支援を強化してまいります。ロードマップに沿った着実な準備を通じて、安心して法施行を迎えられる環境づくりを支援してまいります。

改正法に準拠したモデル契約書や価格交渉記録の整備が急務