
アメリカ特派員 藤吉孝太郎
2026年11月3日に実施されるアメリカの中間選挙は、大統領任期4年のちょうど中間に行われる全国規模の選挙であり、政権の実行力や政策への国民の評価が直接反映される重要な政治イベントである。中間選挙では下院議員435人の全議席と上院の約3分の1が改選されるほか、多くの州で州知事選や州議会選挙も同時に行われる。そのため、選挙結果は議会の多数派構成を左右し、大統領の政策遂行能力に直結する。アメリカでは大統領本人は中間選挙に立候補しないものの、政権の方向性が国民に「途中評価」される場として機能しており、事実上の信任投票としての意味合いを持つ。
中間選挙の得票率は、政権の施策に対する国民の評価を読み解く重要な指標となる。とくに移民政策や治安対策、外交姿勢といった主要政策がどの程度支持されたかは、与党の得票率や議席の増減に反映されるとされる。無党派層が与党に流れれば施策への支持が示されたと解釈され、逆に野党に流れれば政策への不満が強いと受け止められる。地域別の結果も政策評価の内訳を示す材料となり、国境州での動向は移民政策、都市部での動向は治安対策の評価を読み解く手がかりとなる。
2026年のアメリカ政治では、トランプ大統領の発言やSNSでの投稿が政策運営、外交関係、社会情勢に広く影響を及ぼしている。大統領の発信は、強固な支持層を維持する一方で、反対派の警戒感を強め、国内外で評価が大きく分かれる状況が続いている。移民政策をめぐる発信はその典型例だ。大統領は国境管理をめぐる民主党の対応を厳しく批判し、危機が放置されているとの認識を繰り返し示してきた。2025年末には、こうした強い姿勢を示す投稿が民主党側の反発を招き、予算協議が一時中断した。議会関係者は、発言のトーンが協議の前提となる信頼関係を損ねたと受け止められたと説明している。協議は数日後に再開されたものの、中断期間中に一部政府機関で予算執行が遅れ、行政手続きに影響が生じた。
また、防衛費負担に関する大統領の投稿が欧州諸国の反発を招き、ドイツやフランス、イタリアなど複数の国が外務省レベルでアメリカ側に説明を求めたと報じられた。NATO加盟国の一部、とくにポーランドやバルト三国は発言の真意を確認する必要性を示し、急遽調整会議が開かれた。大統領は同盟国の防衛負担が過度にアメリカに偏っていると主張し、より積極的な役割分担を求める姿勢を示してきたが、この発信は支持層から「公平性を求める正当な主張」と受け止められる一方、欧州側では不信感が広がった。専門家の間では、こうした外交上の摩擦が国際協調を重視する有権者の判断材料となり、中間選挙にも影響を与える可能性があるとの見方が出ている。
治安や人種問題に関する投稿の際には複数の都市で抗議デモが発生し、警察対応を批判するグループと治安強化を求めるグループが街頭で対峙した。支持層は大統領の強硬姿勢を「秩序回復に必要」と評価する一方、反対派は発言が社会の分断を深めていると批判する。こうした対立は議会にも波及し、治安政策や人種問題をめぐる協議が感情的な応酬に発展しやすく、合意形成を一層難しくしている。
世論調査では、大統領を強く支持する層は全有権者の約三割前後とされ、その結束は依然として強固だ。一方、無党派層は全有権者の約三分の一を占め、中間選挙の結果を左右する重要な存在とみられている。移民政策や経済政策への評価が投票行動に直結するとの見方が強い。
全体として、トランプ大統領の発信は支持層の結束を保つ一方で、国内外の対立を深める要因にもなっている。発信への評価が二極化しており、2026年の中間選挙ではこうした受け止め方の違いが投票行動にどう反映されるかが焦点となる。


