外国人材のための日本の年金制度と脱退一時金の最新ルール

 日本で働くすべての労働者は、日本の公的年金制度に加入する義務があります。日本の年金制度は国民年金と厚生年金の二層構造で成り立っており、国籍を問わず、国内で就労する人は必ずいずれかの制度に加入します。

 老齢年金を受給するためには原則10年以上の加入期間が必要ですが、技能実習生や特定技能人材の在留期間は制度上限定されているため、多くの場合、この受給資格期間に到達しません。技能実習は最長5年、特定技能1号も最長5年であり、特定技能2号に移行しない限り、老齢年金の受給資格を得ることは困難です。

 この制度的な矛盾を補うために設けられているのが、帰国後に一定額を受け取ることができる「脱退一時金制度」です。脱退一時金は、日本国籍を持たず、6カ月以上の年金加入期間があり、帰国後に日本国内の住所を喪失している場合に請求できます。技能実習生や特定技能人材の多くは厚生年金に加入しているため、支給額は標準報酬月額と加入月数に応じて算定されます。さらに2025年の制度改正により、返金対象となる「支給対象期間」の上限が60カ月から96カ月へ拡大される予定であり、長期滞在者にとっては受給額が増える可能性があります。

 一方で、制度改正により重要な変更点もあります。それが「再入国許可の有効期間中は脱退一時金を請求できない」という新ルールです。再入国許可が有効であるということは、制度上“日本に戻る意思がある”とみなされるため、完全に日本を離れたとは扱われません。

 これまでは、一時帰国中に脱退一時金を請求し、その後再来日して働くケースが見られましたが、これでは年金加入期間を事実上リセットすることが可能となり、制度の趣旨に反するとの指摘がありました。技能実習から特定技能への移行や、一時帰国を挟んだ再来日が一般化する中で、このルールは実務上の重要な留意事項となります。とくに、技能実習終了後に一時帰国し、特定技能で再入国する予定がある場合、再入国許可が残っている限り請求できない点は、本人にも企業にも正確な理解が求められます。

 外国人材の権利を守るためにも、企業と監理団体が制度を正しく理解し、適切に運用することが求められます。