在留資格手続きの手数料改定で企業負担が拡大へ

 在留資格手続きの手数料が改定される見通しです。政府は2026年度にも制度改定を実施する方向で検討しており、外国人材を受け入れる企業にとっては大きな負担増となる可能性があります。これにより、在留資格の更新・変更手数料は現行の6,000円から数万円規模へ、永住許可申請は最大30万円程度へ引き上げられる方向で議論が進んでいます。ただし、具体的な金額はまだ最終決定には至っておらず、今後の制度設計や国会審議を経て確定する見込みです。

 今回の改定は、入管業務の審査負担の増加と国際比較が背景にあります。日本の在留資格手数料は主要国と比べて著しく低く、永住申請費用は米国やオーストラリアの数分の一にとどまっていました。政府は審査体制の強化やデジタル化を進めるため、受益者負担の考え方を強めています。こうした状況から、今回の見直しは単なる値上げではなく、制度全体を再設計する動きとして捉える必要があります。

 企業にとって最も影響が大きいのは、更新頻度の高い在留資格を持つ外国人材です。外国人技能実習生、特定技能、技術・人文知識・国際業務など、1〜3年ごとに更新が必要な在留資格では、1人あたりの年間コストがこれまでの数倍に増える可能性があります。これまで「更新料6,000円」を前提に運用してきた企業にとって、数万円規模への引き上げは大きな負担となります。

 さらに、審査の厳格化も進む見通しです。今回の手数料改定は、入管庁が審査体制を強化するための財源確保という側面もあり、費用増と審査強化は連動して進められています。企業側の書類不備や管理体制の不備は、これまで以上に不許可リスクを高めることになります。職務内容の整合性、労働条件の適正性、在留資格要件の理解など、制度への深い理解と適切な管理が求められる時代に入ります。従来のような形式的な対応では十分とは言えず、実質的な運用体制の整備が必要になります。

 こうした状況を踏まえ、企業が今から準備すべきは、制度施行前の更新手続きの前倒しです。在留期間の更新を前倒しできる外国人材は、在留期限が近い、勤務実態が安定している、職務内容に変更がないなど、一定の条件を満たす場合に限られますが、該当者については現行費用で更新できる可能性があり、短期的なコスト抑制につながります。

 在留資格手続きの大幅値上げは、外国人雇用のコスト構造を根本から変える制度改正です。企業は単なる費用増として捉えるのではなく、受け入れ体制を再構築する契機と捉え、戦略的な対応を進めることが求められます。

外国人労働者の増加に伴い、在留資格審査が厳格化する。