中小製造業で二極化鮮明に~自動車・産機は停滞、半導体は活況

 日本の中小製造業では、業種間の二極化が一段と鮮明になってきました。自動車や産業機械関連は横ばいが続き、国内の新規案件は依然として少ない状況です。大手完成品メーカーが在庫圧縮や調達方針の見直しを進めている影響もあり、「キャパシティの半分程度で稼働している」と話す企業も見られます。廃業した同業者からの生産移管は増えているものの、全体の仕事量は伸び悩んでいるのが実態です。

 一方、半導体関連は最先端領域を中心に受注が拡大しています。「仕事量が倍になった」という声も聞かれ、パワー半導体も堅調に推移しています。海外向け需要も底堅く、アジアでは半導体関連の案件が増加。タイやメキシコ、韓国では安定した受注が続き、海外案件に取り組む中小企業も増加しています。中国の日系企業の停滞を背景に、フィリピンやベトナムが新たな生産拠点として存在感を高めており、現地立ち上げに関わる中小企業も増えています。

 ただし、半導体関連の受注増加の裏側では、レアアース価格の高騰が続き、材料費の上昇によって製造現場はひっ迫しています。半導体向け部材は高機能化が進んでおり、必要素材の価格上昇は避けられず、中小企業の収益を圧迫しているのが現状です。

 今年1月には取引適正化法が施行されましたが、国内の取引慣行には依然として課題が残っています。手形取引は減少したものの、電子記録債権の支払いサイトは60日と長く、中小企業の資金繰りを圧迫しています。「支払いサイトを短縮してほしい」という声は多く、改善への期待は根強いままです。

 金型や木型の保管費は支払われているものの、木型については保険加入が事実上義務化されており、その保険料負担が重いという指摘もあります。木型は金型に比べて壊れやすく、湿気や温度変化による劣化リスクが高いほか、火災や盗難などの事故が発生した場合には、所有権を持つ発注側への賠償責任が生じる可能性があります。このため、発注企業がリスク管理の一環として保険加入を求めるケースが増えており、中小企業にとっては負担となっています。

 半導体の追い風と、自動車・産業機械の停滞が並行するなかで、材料高騰や資金繰りの問題が重なり、中小製造業は厳しい経営環境に置かれています。現場の声をどのように政策や支援策に反映させるかが問われています。