2026年4月1日、アルテミスⅡがケネディ宇宙センターから打ち上げられ、約10日間にわたる50年ぶりとなる有人月周回ミッションが始まりました。アメリカとカナダが共同で挑む歴史的ミッションには、両国から選抜された4名の宇宙飛行士が搭乗し、オリオン宇宙船で地球周回軌道を離れて月へ向かいました。
今回のミッションでは、生命維持装置や航行システムなど、将来の月面着陸に不可欠な技術が宇宙環境で検証され、次の「アルテミスIII」への重要なステップとなります。アルテミスIIIでは月の南極付近への着陸が計画されており、着陸船にはSpaceXが開発する大型月着陸船「Starship」が採用される予定です。
日本の宇宙探査は、有人探査を中心には置いていませんが、高精度の技術やロボティクス、探査機の開発で世界を支える役割を果たしています。小惑星探査機「はやぶさ」は多くのトラブルに直面しながらも地球帰還を果たし、その粘り強い運用と技術力が国際的に高く評価されました。続く「はやぶさ2」では、初代の経験を活かしてサンプル採取や人工クレーター生成などを計画通りに成功させ、2020年に地球へ持ち帰ったサンプルは現在も国内外の研究機関で分析が進められています。
日本では「宇宙開発は失敗が多い」という印象が語られることがありますが、これは実態とは異なります。日本のミッションは、世界初の技術実証や小型探査機など、有人探査とは異なる領域でも挑戦的な試みに積極的に取り組んでおり、その過程で生じるトラブルが大きく報じられるため、失敗が多いように映ります。最近では2026年2月1日に予定されていたH3ロケット9号機が、8号機の失敗を受けた安全確認のために延期され、その印象がさらに強まっています。
しかし実際には、ISS補給機「こうのとり」の全便成功や、2024年の小型月着陸実証機「SLIM」による世界初の“ピンポイント着陸”成功など、国際的に高く評価される成果が着実に積み重ねられています。
さらに、JAXAはアルテミス計画にも深く関わり、月周回拠点「ゲートウェイ」向けの補給機HTV-Xの開発や、トヨタと共同開発する月面探査車「ルナクルーザー」など、将来の月面活動を支える技術を提供しています。これらの取り組みは、有人探査を直接担わない日本が、精密性と技術力で国際的な存在感を発揮していることを示しています。
アメリカの宇宙探査が有人探査を軸にした国家プロジェクトとして進められているのに対し、日本は技術力と国際協力を通じて存在感を発揮する構造になっています。アメリカが月から火星へと航路を広げる中、日本はその挑戦を支える重要なパートナーとして存在感を高めています。両国のアプローチは異なりますが、互いの強みが組み合わさることで、人類の宇宙進出はより現実的なものになりつつあります。

宇宙環境で検証される。

