2月27日付の“ニュースを読み解く”で配信した「東南アジアで進むEV競争の激化」では、ハノイ市内でEV以外の車両の乗り入れ規制が進み、EV需要が急拡大している現状を取り上げた。こうした政策は市民に一定の負担を強いる一方で、VinFast にとっては国内市場での成長を後押しする環境が整いつつあると紹介した。
しかしその一方で、直近で確定している通期決算である2023年の最終損失は約97.25兆ドン(約5800億円)に達し、世界的なEV市場の競争激化の中で、急拡大戦略が大きな負担となっている実態も明らかになった。国内政策が追い風となる状況にもかかわらず損失が拡大しているのはなぜか。この矛盾は、VinFast が直面する構造的課題と、世界市場での競争環境の厳しさを象徴している。
Vinfastは、ベトナム最大の民間企業Vinグループの中核企業として2017年に設立された新興メーカーだ。近年は米国市場への本格進出を掲げ、ノースカロライナ州での工場建設、販売網の拡大、インドやインドネシアでの新工場計画など、積極的な海外展開を進めてきた。しかし、こうした大型投資が短期的な収益を圧迫し、損失拡大の主因となっている。
とくに費用面での課題として指摘されているのが、顧客獲得策として導入した「無料充電プログラム」である。EV普及には一定の効果があるものの、運用コストがかさみ、収益面での負担が増している。また、同社の粗利益率は依然としてマイナス圏にあり、直近の四半期でも約−40%と、製造コストの高さが課題として残る。生産台数の増加によってスケールメリットが働く余地はあるものの、現状では売上の伸びよりもコスト増が上回る構造が続いている。
一方で、VinFast の販売台数は急増している。直近四半期の納車台数は8万6千台を超え、前年同期比で大幅に伸びた。売上も2倍以上に増加しており、事業規模そのものは拡大している。しかし、こうした成長は主に国内需要に支えられたものであり、世界市場での急拡大に伴う先行投資が依然として収益改善を妨げている。海外工場の建設や販売網の整備など、グローバル展開に必要なコストが重く、売上の伸びがその負担を吸収しきれていない構造が続いている。
同社は今後、2026年に30万台以上のEV納入を目指し、次世代モデルでのコスト削減や生産効率の改善を進める方針だ。海外工場の稼働が本格化すれば、物流コストの削減や現地販売の強化につながる可能性もある。ただし、アナリストの間では資金調達能力に対する懸念が広がっており、巨額の投資を続けながら黒字化を実現できるかどうかが最大の焦点となっている。
世界のEV市場では、テスラが値下げを主導し、中国勢も大規模生産を背景に価格競争を加速させている。こうした競争環境の激化は、コスト構造が重い新興メーカーにとって厳しい状況を生み出している。VinFast が攻めの投資を続けながら持続的な成長モデルを確立できるか、今後の動向が注目される。

に制限・禁止する低排出ゾーン(LEZ)を導入する。

