2026年の自動車産業は、EV市場の再編、SDV(ソフトウェア定義車)の本格普及、調達リスクの高まりという三つのトレンドが注目されています。EV市場では、補助金の縮小や価格競争の激化、充電インフラの不足に加え、ユーザーが価格や航続距離、充電の手間を理由にEVを選びにくくなっていることも大きな要因となっています。その結果、市場の成長は一時的に落ち着きつつあります。
一方で、次世代電池の開発や中国メーカーの台頭など、企業間の競争が一段と激しくなっています。各社は「量の拡大」から「質と収益性の確保」へと戦略を転換し始めています。
こうした流れの中で、2026年に新しいタイプの車として注目されるのがSDV(Software Defined Vehicle)です。SDVは、車の機能を後から追加したり改善したりできる次世代の自動車として期待が高まっています。最近の車はOTA(無線によるソフトウェア更新)によって、購入後も新しい機能が追加されたり、使いやすさが向上したりするようになりました。
車はこれまでのような“ハードの性能で勝負する工業製品”ではなく、“ソフトウェアによって成長し続けるプラットフォーム”へと変わりつつあります。また、車の頭脳となるコンピュータが高性能になったことで、ユーザーはより便利で使いやすい機能を、より早く受け取れるようになってきました。画面操作のしやすさやサービスの使い勝手が向上し、車の機能や使いやすさが日々アップデートされていきます。
走行中に集まるデータを活用することで、故障の兆候を早めに知らせてくれるなど、安全面での安心が高まります。また、地図アプリやスマホサービスと連携することで、ルート案内がより正確になり、操作性も向上するなど、日常の利便性が高まります。保険サービスと連携することで、事故対応が早くなったり、安全運転に応じて保険料が安くなったりと、ユーザーにとってのメリットが向上します。
こうした変化によって、自動車のビジネスは「作って売る」から、ソフトウェアやサービスを通じて長く価値を提供する“プラットフォーム型”へと広がりつつあります。
2026年は、調達リスクが経営の最重要テーマとして浮上する年でもあります。米国の関税政策や地政学リスクの高まりにより、半導体やレアアースを中心とした部材調達の不確実性が増しています。とくに日本の自動車産業はティア構造が複雑で、下位層の中小企業ほどリスク耐性が弱いという構造的課題を抱えています。このため、企業は調達先の多元化、在庫戦略の見直し、サプライチェーン全体の可視化といった取り組みを加速させています。
2026年の自動車産業は「ソフトウェア化」「再編」「リスク耐性強化」という三つの変革が同時に進む年であり、企業の競争力はこれらの変化にどれだけ迅速かつ柔軟に対応できるかにかかっています。


