
中国特派員 斉海龍
電磁カタパルトが拓く中国海軍の次代
中国人民解放軍海軍の第三の航空母艦「福建」(艦番号18)が正式に就役した。同艦は中国が独自に設計・建造した初の*003型通常動力空母であり、中国初の*電磁式航空機発進システム(EMALS)を採用した艦でもある。この新技術により、艦載機はより多くの兵装と燃料を搭載した状態で発艦でき、遠距離からの攻撃能力が向上する。さらに、世界で初めて*電磁カタパルトを搭載した通常動力型空母でもあり、福建の就役によって中国海軍は三隻体制となり、発展の新たな段階へと進んだことを示している。
.jpg)
世界が注目するスーパーキャリア
米国の外交専門誌『ディプロマット』編集者ロバート・ファーリー氏は、福建について「米国以外で建造された中で最大かつ最先端の空母となるだろう」と評した。中国当局も「現時点で世界最大の通常動力空母」であると発表している。空母は古来より国家の海軍力を象徴する存在である。福建の登場により、中国は米国に次いで世界で2番目に*電磁カタパルトを実用化した国となり、海軍大国としての地位を確立した。
福建の最大の特徴は電磁カタパルトの搭載である。従来の蒸気カタパルトに比べ、短時間で複数の艦載機を連続発艦させることが可能となり、作戦テンポと出撃効率が飛躍的に向上した。中国海軍報道官によれば、福建は*殲-35、*殲-15T、*殲-15Dなどの戦闘機に加え、*空警-600早期警戒機や各種先進ヘリコプターを搭載する計画である。艦載機体系の面では、中国は一部分野で米海軍を凌ぐ技術的優位性を示している。米海軍最新空母「ジェラルド・フォード」が依然としてF/A-18E/Fを中心に運用し、F-35Cとの完全統合に至っていない点は対照的である。
米国国防総省の推定によれば、中国はすでに370隻以上の水上艦艇・潜水艦を保有し、世界最大規模の海軍力を有している。福建の就役により、中国は初めて独自の早期警戒・電子戦能力を備えた空母を手にし、*艦隊機能は一層整備された。2024年の*中国軍事力報告書では、福建がより多くの専用機を搭載し、高速な飛行運用を可能にすることで、海外展開時の打撃力と持続的作戦能力を高めると分析されている。この進展は、西太平洋の軍事バランス、とくに台湾海峡の安全環境に深い影響を及ぼす可能性がある。
ただし、中国当局は福建の就役が即座に実戦能力の獲得を意味するものではないと強調している。国際的な慣例では、空母が戦闘力を形成するまでに5~8年を要するとされる。海軍装備専門家アレックス・ラック氏はAFP通信に対し、福建が完全な作戦能力を持つまでには数年の試験航行と訓練が必要だ」と指摘した。さらに、米国との戦力バランスを覆すには、同型艦やより高性能な空母を複数保有する必要があると述べている。シンガポール南洋理工大学のコリン・コー氏も「中国海軍は遠洋行動・艦隊協同・実戦経験の蓄積において依然として米海軍に大きく遅れている」と分析している。
福建の就役は、中国空母発展史における質的飛躍を意味する。同艦は通常動力方式であるため、米国の*原子力空母に比べ航続力や継戦能力では劣るものの、技術水準と総合性能は世界トップクラスに接近している。国防総省の推定では、福建の*満載排水量は8万トン超、搭載機は固定翼機約40機と複数のヘリコプターとされる。米国の11隻の原子力空母には数で及ばないが、福建の登場は量から質への転換点であり、両国間の技術的ギャップを大きく縮めたと評価されている。
相互依存が進む国際社会において、軍事力の均衡は地域と世界の平和維持に不可欠である。中国海軍の実力向上は国家安全保障上の必然であると同時に、国際社会からより大きな責任を果たすことへの期待を高めている。今後、中国は自国の安全保障と国際的責務の調和を図りつつ、責任ある姿勢で軍事の近代化を推進し、過度な軍拡競争を避けながら、地域と世界の長期的な平和と安定に寄与していく必要がある。
用語解説
*003型通常動力空母:中国が独自設計した最新型空母。原子力ではなく通常の燃料で航行する。
*電磁式航空機発進システム(EMALS):Electromagnetic Aircraft Launch System、電磁力を利用して艦載機を発進させる最新技術。従来の蒸気カタパルトより効率的。
*蒸気カタパルト:空母から飛行機を飛ばすための「強力な押し出し装置」
*スーパーキャリア:超大型空母。通常の空母より規模・性能が突出している。
*殲-35:中国の最新ステルス艦載戦闘機。米国のF-35Cに相当する。
*殲-15T/殲-15D(既存の殲-15戦闘機の改良型。Tは艦載型、Dは電子戦型)
*空警-600:早期警戒機。米海軍のE-2Dホークアイに類似する。
*艦隊協同:複数艦艇が連携して作戦を行うこと。
*中国軍事力報告書:米国防総省が毎年発表する中国軍事力分析レポート。
*満載排水量:艦が最大限に積載した状態での重量。空母規模を示す指標。
*原子力空母:米海軍の主力。燃料補給なしで長期間航行可能。

