IAA Mobility 2025 レポート

ドイツ特派員 畠山佳奈子

世界のモビリティの未来を体感する、ミュンヘン発の国際見本市

 2025年9月9日から14日まで、ドイツ・ミュンヘン国際見本市会場にて「IAA Mobility 2025」が開催されました。従来フランクフルトで行われていた国際自動車ショーが進化し、2021年からミュンヘンを拠点にスタートした本イベントは、単なる自動車展示会にとどまらず、「未来の移動」をテーマに掲げた総合モビリティ見本市です。今年は37か国から750社程が出展し、来場者数は50万人を超えました。私も初日から会場を訪れましたが、展示ホールは熱気に包まれ、各国からの来訪者で大変な賑わいを見せていました。

 日本企業のブースも複数出展され、参加者は新しいビジネスチャンスへの手応えを感じている様子でした。一方、初日にはフリードリヒ・メルツ首相が視察に訪れ、多くの警察官が配置されるなど、会場は興奮と緊張が入り混じった独特の雰囲気となっていました。IAA Mobility の大きな特徴は、メッセ・ミュンヘンでの専門展示と、市内中心部で開催される一般公開型ショーの融合にあります。来場者は最新技術やコンセプトカーの展示に加え、電動自転車やEVの試乗、都市型モビリティの実証実験を体験でき、企業との直接交流も可能です。

 産業界と市民社会が一体となって未来の移動社会を「体感」できるのは、このイベントならではの魅力です。ミュンヘン中心部はお祭りのような雰囲気に包まれ、多くの市民や観光客が試乗や展示を楽しんでいました。これまで様々な展示会を見てきましたが、会場内だけでなく街全体を巻き込む市民参加型イベントは初めての体験でした。

IAA ホームページより

 また、自動運転や「ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)」といった新しいモビリティ概念も進展しており、日本企業にとっても学びと商機の多い分野といえます。会場内の「スタートアップ・ゾーン」では、スタートアップ企業が独自技術を発信していました。大手OEMとの交流も活発であり、日本からの参加企業にとっても新たなパートナーシップ構築の絶好の場といえます。

 欧州はEV市場拡大を牽引しており、会場では充電インフラ、次世代バッテリー、水素燃料電池など持続可能な技術が多数紹介されました。また、自動運転や「ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)」といった新しいモビリティ概念も進展しており、日本企業にとっても学びと商機の多い分野といえます。

 会場内の「スタートアップ・ゾーン」では、スタートアップ企業が独自技術を発信していました。大手OEMとの交流も活発であり、日本からの参加企業にとっても新たなパートナーシップ構築の絶好の場といえます。

展示テーマと国際的議論

2025年の展示テーマは “It’s All About Mobility” であり、以下の4つが主要トピックです。

  • Mobility(移動のあり方)
  • Technology(技術)
  • Sustainability(持続可能性)
  • Smart Infrastructure(スマートインフラ)

 カーボンニュートラルや都市交通課題への解決策が議論され、基調講演やパネルディスカッションには業界リーダーや政策決定者が登壇しました。来場者は最新知見を得るだけでなく、自社の戦略立案にも活かせる場となっています。

abendzeitung-muenchen.deより

 自動車産業協会(VDA)は「自動車の未来」を提示していますが、市民団体の中には「持続可能なモビリティは自動車依存の縮小と徒歩・自転車・公共交通の拡充にある」と訴える声も強く、会場周辺やミュンヘン各地で抗議活動も展開されました。デモの見学にも行きましたが、環境問題への関心が高い多くのドイツ人が参加していました。産業界の技術革新と市民社会の要求が交錯するのも、このイベントならではの特徴といえます。

 IAA Mobilityは、日本企業にとってヨーロッパ市場への重要なゲートウェイです。大手メーカーのみならず、部品サプライヤーやスタートアップも参加し、精密部品や素材技術、エネルギー効率化といった日本の強みをアピールする絶好の場となっています。欧州市場のニーズは高く、現地商談を通じて新たな販路や提携先を開拓できるチャンスが広がっています。

 IAA Mobilityは単なる展示会ではなく、未来のモビリティを「体感」し、国際的ネットワークを築く場です。技術革新が加速する今、日本企業にとって欧州市場との接点を広げる重要な機会であり、積極的に参加する価値のあるイベントだといえるでしょう。

情報源

IAA Mobility 公式サイト(https://www.iaa-mobility.com/

IAA MOBILITY 2027 | IAA MOBILITY

ドイツ連邦環境庁(Umweltbundesamt, UBA)2024/25年調査レポート

HERE Technologies at IAA MOBILITY 2025 | IAA MOBILITY

メッセ・ミュンヘン日本代表部

エレクトロビット、IAA Mobility 2025に出展:パートナーシップと革新的ソリューションがSDVの成長を加速 – Elektrobit

Rimac zeigt Festkörper-Batterien auf IAA

Facebook

IAA MOBILITY 2025 | VDA