
ベトナム特派員 ヴ― ヴァン クエット

2025年2月19日、ベトナム国会は国家発展を目指す新たな鉄道開設計画を正式に承認した。この計画は、物流効率の向上と経済成長の促進を目指す国家的プロジェクトであり、総投資額は83億ドルにのぼる。既存の鉄道網は100年以上前に建設されたもので、老朽化による運送効率の低下や安全性の問題が深刻化している。このため、これに代わる新たなインフラ整備は喫緊の課題とされていた。
計画されている鉄道は、中国国境に位置するラオカイ省を起点とし、首都ハノイを経由して国際港湾都市ハイフォン市に至る全長約400キロメートルの路線である。この新鉄道網は、国内物流網の効率化を図る上で極めて重要な役割を担うと期待されている。さらに、走行速度が時速80キロから160キロに設定されることで、長距離輸送の時間短縮が可能となり、物流の迅速化につながるとされる。完成までには約9万人の労働力を要し、それに伴い、工事用地の確保、設備準備、人材育成といった課題が具体的に浮き彫りとなっている。
ベトナム政府は、このプロジェクトを成功させるべく、関連機関に迅速な対応を指示している。工事用地の確保や必要な設備の準備、人材育成といったプロセスを進めるために、政府が主体となり強力な指導を行っている。また、このプロジェクトを通じて国内輸送の効率向上を図るだけでなく、地域間の経済発展や観光産業の促進も目指している。例えば、ラオカイ省、ハノイ市、ハイフォン市といった主要都市を鉄道網で結ぶことで、地域間のアクセスが向上し、国内外の投資家から注目を集める経済的な可能性が生まれると期待されている。
さらに、この新鉄道網は環境負荷の軽減に大きく寄与すると期待されている。最新の省エネルギー技術や再生可能エネルギーの活用に加え、環境負荷を最小限に抑える運行管理システムの導入が予定されている。また、電力供給においては化石燃料への依存を減らし、再生可能エネルギーの比率を増やすことで、さらなる炭素排出削減を目指している。これらの取り組みを通じて、持続可能な発展を促進する環境配慮型の技術や運用が採用される。この結果、ベトナム全体が環境保護を重視したインフラ整備のモデルケースとなる可能性が高まる。
政府は、関係機関との緊密な連携を図りながら、この計画を円滑に進める体制を整えている。こうした取り組みにより、国民生活の向上を目指す持続可能な社会の実現が進められている。
