フランス特派員 大貫麻奈
12月といえばクリスマス。フランス語ではNoël(ノエル)と言い、ラテン語のnatal(生まれた日)に由来する。元々はイエス・キリストの誕生をお祝いするキリスト教徒の行事であり、日本のクリスマスとはまた少し違った意味合いを持っている。クリスマスの過ごし方といえば、日本では友人や恋人と過ごす人たちも多いが、フランスやヨーロッパでは家族や親戚と過ごすことが一般的である。反対に大晦日はこの認識が逆になる。
人々にとって大きなイベントであるこのNoël は、当日だけでなく11月中旬ごろから街並みを変化させる。お店にはクリスマスグッズが並び、イルミネーションがキラキラと街を彩る。とくに驚いたことが多くの家庭ではもみの木を毎年新しく買うということ。日本では作り物のツリーが一般だが、このシーズンになると毎年いろんなサイズ・形のもみの木が店頭に並び、街中にもみの木を抱えながら歩く人々をよく見かける。
子供達の楽しみの一つとしてアドベントカレンダーも多く販売されている。この「アドベント」とはキリストの降誕を待ち望む期間のことを指していて、基本的にはクリスマスの4週間前の日曜日から始まり、毎日カウントダウンしながらイラストの小窓や引き出しを開けて中に入っているお菓子や雑貨を楽しむ。また多くの教会やヨーロッパの家庭では、「アドベント・キャンドル」といって4本のキャンドルを日曜日ごとに1本ずつ灯していく。それぞれのキャンドルには意味と名前があり、一本目が希望の意味の「予言のキャンドル」、2本目が平和の「天使のキャンドル」、
3本目は歓び「羊飼いのキャンドル」、4本目が愛「ベツレヘムのキャンドル」となっている。
またクリスマスマーケットもこの時期の醍醐味である。ホットワインやキャンドル、ソーセージ、かわいらしい雑貨などさまざまな屋台が並び、夜は煌びやかなイルミネーションによって彩られる。とくにホットワインはかわいらしいカップも一緒に購入可能で、場所や年によってデザインが変わる。一度購入したらそのカップにまたワインを入れてもらうこともできる。場所によっては観覧車やメリーゴーランド、子供達が遊べるようなアスレチックが臨時で作られるところもある。
とくにドイツとフランスの国境沿い、アルザス地方のクリスマスマーケットは最大級である。その中心都市ストラスブールは、フランスの「クリスマスの首都」、「クリスマスツリーの発祥地」と言われており、1750年からマーケットが開催されている。ドイツと領有権をめぐり争ったことから国籍が何度も変わったが、そのため建築や文化もフランスでありながらドイツも感じられる街であり、世界遺産にも美しい街として登録されている。まるで絵本の中にいるような建物が多く並び、街全体がとてもかわいらしい。クリスマスの時期は、街中が綺麗に飾り付けされており圧巻である。この時期にフランスに来られた方にはぜひ訪れてほしい街の一つである。
おまけ
パリの老舗デパート、ギャラリーラファイエットのイルミネーション