米国の「TikTok 難民」が「小紅書(RED)」に殺到

中国特派員 斉海龍

 
1 月14 日の報道によると、米国でTikTok 禁止の懸念が広がる中、アメリカのネットユーザーたちは自らを「TikTok 難民」と呼び、中国のソーシャルアプリ「小紅書(RED)」に殺到した。その結果、米国のApp Store の無料アプリランキングで1 位となり、TikTokの写真共有アプリ「Lemon8」とOpenAI の「ChatGPT」がそれに続いた。

現在、小紅書(RED)はGoogle Play で1 億回以上ダウンロードされている。アプリデータ調査会社Sensor Tower によると、今週の米国における小紅書のダウンロード数は前年比200%以上、前週比194%増加したと推定されている。

1 月17日午前10 時頃、Qimai のデータによると、1 月16日時点で、小紅書(RED)は世界中の75 ヵ国と地域で、iPhone 無料アプリランキングで1 位にランクされており、米国、オーストラリア、及びカナタでは、総合リストトップの座を手にした。それと同時に、世界17 地域のiPad 無料アプリランキングでも1 位を獲得した。


小紅書(RED)は、電子商取引、ショートビデオ、投稿機能を組み合わせた中国のソーシャルメディアアプリケーションで、ユーザーは写真、ビデオ、テキストを通じて自分の生活を記録することができる。2013年に設立され、近年では、電子商取引やソーシャルメディア分野でTikTokやアリババなどの大手ソーシャルメディアに挑戦している。これまでのメディア報道によると、2024年7月で、小紅書(RED)の月間アクティブユーザー数は約3億で、現在も急速に増加中だそうだ。


では、なぜアメリカのユーザーは、TikTokに似ているDouyinや、アメリカ発祥のInstagramやFacebookではなく、小紅書(RED)を選んだのだろうか。


主な理由はいくつかある。

1. 小紅書(RED)は、ユーザの地区別で分かれていない。サービスを開始した当初は、主に留学生をターゲットにしていたため、世界中の人が利用しやすいように、他国のユーザーを隔離することはなかった。

2. Douyinはかなり似ているが、ユーザー登録の制限があり、外国人ユーザーが登録することは非常に手間がかかる。まず、中国本土のアップルアカウントを取得し、登録後は本人認証の必要もある。本人認証の方法としては、中国本土の身分証明書のみが承認されるそうだ。

3. 小紅書(RED)は、写真とテキストの総合アプリケーションで、コミュニティの雰囲気や操作方法はInstagramと非常に似ているため、アメリカのユーザーとしては親しみが感じられる。

TikTok 禁止によって生じた「難民のブーム」は、単なる文化的衝突にとどまらず、インターネット生態系に対する重大な試練でもある。活発的な「民間交流」の背後には、グローバリゼーションの中における新たなメディア間の戦略的な競争の複雑なロジックが横たわっている。


界面新聞によると、小紅書(RED)にとって、米国でのこの突然な人気は、海外のユーザー規模と国際市場シェアをさらに拡大し、世界的な影響力を継続的に高める機会と同時に、中米との文化交流を促進し、より多くの商業活動の機会をもたらしている。


しかし、この絶大なブームを受け止めるために、小紅書(RED)は一連の潜在的な課題にも対処する必要がある。たとえば、小紅書(RED)には、まだフルな翻訳機能がなく、アメリカのユーザーと他の非英語圏のユーザー間にコミュニケーションの障壁がまだ存在している。

また、アメリカのユーザーが投稿するコンテンツはより多様化しており、コンテンツの審査と管理の難易度も高まっている。ユーザーの個人情報の安全性対策も、小紅書(RED)の海外での円滑な事業展開を左右する重要な要素となるだろう。