いよいよ「インドの世紀」到来 ~数字が伝えるインドの勢い~

インド特派員 石﨑奈保子

2023年、インドは人口で中国を抜き、世界首位に躍り出た。2024年の国連推計では、1位がインドで14億5100万人、2位が中国で14億1900万人、次いでアメリカが3億4500万人。今後も人口が増えて2050年には16億8,000万人に達する見込みである。年齢中央値は27.9歳で、中国が38.5歳、日本が48.4歳。2050年にはインドが39.1歳、中国が50.7歳、日本が53.6歳。「人口」という観点だけでも、経済成長のポテンシャルの高さがうかがえ、間違いなくインドは今後数十年、「有望国」である。

日本、インド、中国の人口ピラミッド図

2000年に世界13位だったGDPは、24年見通しでは日本に次いで5位。新政権の目標は、「2027年までに日本とドイツを抜いてGDP世界第3位、そして2047年には先進国入りする」という。その目標は確実に達成される見込みで、IMF(国際通貨基金)の見通しでは、従来予測をよりも逆転時期が1年早まり、2025年には日本を上回る見通しである。

巨大なインド市場は進出先として大変魅力的で、すでに日本企業の拠点はインド全域に存在し、その数は1,400社を超える。このような状況下、日本ではインド国・インド人と信頼関係を構築し、いかにしてビジネスを成功させるかを学ぶべく、インド関連のビジネスセミナーはどこも盛況だ。今年6月に開催されたJETROビジネスセミナーでは、もともと定員100名のところを200名に倍増し、満席だったほどである。

その他、インドの成長ぶりを示す興味深い数字を列挙する。(以下、JETROインドビジネスセミナー情報より抜粋)

  • 海外投資は年々増加し、輸出額は2014年から倍増、2030年までに2兆ドルになる。
  • インフラ政策は政府にとって重要な柱のひとつである。高速道路の建設スピードは、40~50キロ/日とスピードアップ。2047年までに、都市部の鉄道プロジェクトは7倍、港は4倍。
  • デジタル関連のビジネスも大幅に伸びている。とくに銀行取引は1日10億件。この分野は1兆ドルになると見込んでいる。
  • 特許申請数は世界第6位。知的財産保護の動きも加速している。

しかし、2014年から掲げているMake in India(製造業立国)政策は、2022年までに製造業比率を25%にまで引き上げる目標であったが、現在は15%にとどまっている。インドの製造業の成長を後押しする政策には、先に挙げたインフラ政策に加えて、「自立したインド」を目指したPLI(生産運動型優遇策)があり、以下の14の産業分野への補助金を導入した(2020年)。

【PLI補助金対象14分野】

電機(携帯電話)、自動車・部品、太陽光モジュール、先端化学・電池、ITハードウェア、医薬品、通信、食品、繊維、医薬品原薬、特殊鋼、エアコン・LED、医療機器、ドローン(予算規模の大きい順から列挙)

政府は半導体産業誘致にも本腰を入れており、国産化に向けたプロジェクトを相次いで打ち出している。2029年までに半導体製造で世界トップ5に入ることを目標に掲げている。