「烂尾娃」—-高失業率の背景における「無声の叫び」

中国特派員 斉海龍

現在、中国経済は不動産不況の影響を受けており、さらに新型コロナウイルスの影響や、政府から金融、テクノロジー、教育業界への規制が続いており、これらの要因が実に就職市場に影響を与え続けている。

中国国家統計局(NBS)が8月16日に発表したデータによると、7月の全国都市部における16~24歳の若手労働者(在学中の学生を除く)の失業率は17.1%となり、6月の13.2%から大幅に上昇し、今年に入ってからの最高記録を更新した。

2023年6月には、この年齢層の失業率が21.3%という歴史的な高値に達していた。その後、当局は失業率の発表を一時停止し、統計方法を変更して、在学中の学生を青年失業率の計算対象から除外した。

今年の夏、中国の大学卒業生の数は1179万人という新記録に達し、急増している若者の失業率により、数百万の大学卒業生が困難な状況に追い込まれている。一部の人々は低賃金の仕事を受け入れざるを得なくなり、また他の人々は適切な仕事が見つからず、「卒業即失業」という厳しい現実に直面し、両親の年金に頼って生活している場合もあります。このような失業中の若者は、新たな社会階層である「烂尾娃(ランウェイワー)」を生み出した。

「烂尾娃」は、今年の中国のソーシャルメディアで流行語となっています。この言葉は、2021年以降、中国で数千万棟の未完成のまま工事が停止した建物「烂尾楼(ランウェイロウ)」現象を借用し、厳しい学業競争の中で何年も努力してきたにもかかわらず、大学の学位を持ちながら仕事が見つからず、人生が「烂尾楼」のように中途半端で停滞してしまった多くの若者を表現している。

高失業率の状況では、数多くの若者が内心で苦しんでいるものの、その声はほとんど聞こえない。失業や職探しの難しさに直面している人々は、社会的な圧力や期待、そして未来への不安から、痛みやフラストレーションを公にすることが難しくなっている。彼らの無声の叫びは、希望や支援を求める切実な願いであり、経済や社会政策が真摯に受け止めるべき問題である。

中国の失業率が高止まりしている原因は以下のようにまとめられる。

1.全体的な経済成長の鈍化

近年、国家全体の経済成長が鈍化し、失業問題が構造的な現象となりつつある。多くの企業は、コストの上昇と需要の不足という二重の圧力に直面しており、人員を削減せざるを得ない状況である。

2.安定したビジネス環境の欠如

政府は経済を刺激して企業の活力を高めようとしていますが、多くの企業家は依然として将来の市場環境に対して不確実性を感じている。この不安は直接的に彼らの投資決定に影響を与え、企業は自信を欠いているため、設備投資や採用を増やすことに消極的である。

3.労働供給の不均衡

近年、大学の大幅な定員拡大により、労働市場における供給が過剰になっている。多くの大学生や高学歴の人材が市場に参入していますが、実際の経済需要は主にブルーカラー労働者やサービス業従事者にある。この供給と需要のミスマッチが、青年失業率をさらに悪化させている。

4.企業の雇用関係の非正規化

厳しい経済状況に伴い、多くの企業は利益を維持するため、臨時工や派遣労働者などの柔軟な雇用形態を採用する傾向にある。

伝統的な雇用対策であるインフラ投資や工場建設、開発プロジェクトなどは、もはや若者を惹きつけることが難しくなっている。現在の若者世代は、体面的な給与待遇を求めるだけでなく、充実した余暇時間の確保、そして精神的な満足と身体的健康のバランスを追求している。しかし、現状の環境ではこれらのニーズを満たすことが困難である。結局のところ、社会の発展の在り方や粗放的な人材教育・供給方式、そして経済の低迷が、現在の大きな就職難を引き起こしていると言える。

大量の求職者が絶え間なく混雑した労働市場に流入し、現代の若者は生存と生活の間で厳しい選択を迫られている。国や政府が雇用を増やす政策を打ち出すことを期待する一方で、個人としても就職観を見直す必要があリ、高学歴のプライドを手放し、自身の能力と価値を再評価し、職業選択の分野や地域を広げて、「烂尾娃」にならないように頑張り続けましょう。