2027年1月から適用される新たなミニマムタックス課税は、高額所得者の税負担の公平性を確保するために導入される制度です。「現行税制では、多額の総合所得を有する者が分離所得を得ると、実効税率が低下する矛盾があります」と指摘されているように、給与所得などの総合課税が累進税率である一方、株式や不動産の譲渡所得は一律20.315%の分離課税であるため、巨額のキャピタルゲインを得た場合に税率が逆転する現象が生じていました。
この問題を是正するため、2025年からミニマムタックス課税が導入され、2027年には大幅な改正が予定されています。現行制度では、年間所得が3.3億円を超える場合に、基準所得金額から3.3億円を控除した金額に22.5%を乗じた額と、通常の所得税額を比較し、後者が小さい場合に差額を追加納税する仕組みとなっています。
しかし、2027年改正ではこの基準が大きく変更されます。特別控除額は3.3億円から1.65億円へ半減し、税率も22.5%から30%へ引き上げられます。これにより課税が発動する所得水準は大幅に下がり、対象者が増加する見込みです。資料によれば、改正前は約10億円の分離所得で発動していたものが、改正後は約3.3億円の分離所得で発動します。また、5億円の譲渡益で約2,500万円、10億円で約1億円の負担増となる試算も示されています。
影響を受けるのは、主に株式や不動産の売却で多額の譲渡益を得るケースです。M&Aによる会社売却、親族間での自社株売買、相続株式の発行会社への売却、上場株式の大量売却、不動産売却、さらには出国税の対象となる場合など、多様な場面が想定されます。
さらに、ミニマムタックス課税では所得控除の適用が制限されるため、ふるさと納税や医療費控除などの節税策が十分に機能しなくなる点にも留意が必要です。高額所得者にとって、2027年改正は実効税率を押し上げる大きな転換点となります。とくに事業承継やM&Aを検討する経営者にとっては、譲渡時期の判断が税負担に直結するため、早期のシミュレーションと専門家への相談が不可欠です。
制度の趣旨を理解しつつ、最適な資産戦略を構築することが、今後の税務リスク管理において重要となります。

