中国、世界ロボット大会(WRC 2026)」が開催

中国・北京で開催された「世界ロボット大会(WRC 2026)」では、ロボット産業が“見せる技術”から“使われる技術”へと本格的に転換しつつある姿が鮮明になった。会場には373社が出展し、約3,000点の製品が並んだ。とくに注目を集めたのは、311点に及ぶ新型ロボットの初公開であり、中国がロボティクス分野で世界的な存在感を示した。

今年の大会テーマは「人機共生・産需共融」。ロボットが産業現場や生活空間に深く入り込み、実際の課題を解決する段階へと進んだことを示す。会場では、従来のジャンプやダンスといったデモンストレーション中心の展示から一転し、物流、製造、医療、家庭など具体的な場面での実働を想定したロボットが多数登場した。

中でも注目を集めたのが、北京人形ロボットイノベーションセンターが披露した「Tiangong Omni」である。不安定な梅花桩(ばいかとう)の上を歩き、階段昇降や匍匐前進までこなす高い運動能力を示した。さらに、熱画像を用いた電力設備の点検など、危険環境での作業にも対応するなど、産業向けの高度な実用性を備えた“次世代型人形ロボット”として評価された。

また、Unitree Roboticsは、卓球対戦ロボットやボクシングを披露しつつ、同社のロボットがすでに自動車工場で試験導入されていることを強調した。大会期間中には同社がA株市場に上場し、ロボット産業の商業化が加速していることを印象づけた。

物流分野では、UBTECHの人形ロボット群が協調して箱の積み上げや仕分けを行うデモを実施。複数ロボットが連携して作業を進める“協働型ロボットシステム”は、倉庫や製造現場での省人化を大きく前進させる可能性を示した。

さらに、会場には「ロボット消費街」が設けられ、ロボットシェフが料理を提供するなど、一般消費者向けの体験も充実した。家庭用ロボットや介護ロボットの展示も増え、ロボットが生活に溶け込む未来像が具体的に提示された。

今回のイベントを通じて、中国のロボット産業は、AI大モデルと具身知能を核とした“実用化フェーズ”へと明確に移行した。ロボットが競技で人間を上回る能力を示すだけでなく、産業・生活の現場で実際に役立つ段階に入ったことは、世界のロボティクス市場に大きな影響を与えるだろう。

日本からは、ファナック(産業用ロボットやFAシステム)をはじめ、安川電機(協働ロボットやモーション制御技術)、FingerVision(触覚センサー技術)、キーエンス(画像処理・計測システム)、イマオコーポレーション(機械要素部品)らが出展した。展示内容は産業用ロボット、要素技術、制御系が中心となり、製造現場の自動化や精密制御を支える技術において確かな存在感を示した。

中国がロボティクス分野で世界的な存在感を示した。