加速と停滞が並存するEV市場の二極化構造

日本の自動車市場では、依然としてガソリン車とハイブリッド車(HV)が主流であり、電気自動車(EV)のシェアは3〜4%程度にとどまっています。日本では長距離走行や充電インフラへの不安、車両価格の高さなどが影響し、消費者は燃費性能の高いHVを選ぶ傾向が強く見られます。このように、日本は世界的なEVシフトの中でも独自の構造を持つ市場と言えます。

国際エネルギー機関(IEA)のデータによれば、2024〜2025年の世界平均では新車販売の約2割がEVとなり、電動化は確実に進んでいます。しかし、その普及速度には極めて大きな地域差があります。最もEV化が進んでいるのは中国で、2024年には新車販売の約半数がEVとなり、2025年には6割に達する見通しです。政府の強力な政策支援に加え、国産EVの価格競争力が高く、消費者がEVを選びやすい環境が整っています。

欧州でも電動化は進展しており、ノルウェーでは新車の97%がEV、スウェーデンやデンマークでも40〜60%台に達しています。これらの国々では環境政策が明確で、税制優遇や充電インフラの整備が普及を後押ししています。都市部が多く、走行距離が比較的短いこともEV普及に適した条件となっています。

一方、アメリカではEV比率は約10%にとどまり、ピックアップトラックを中心としたガソリン車需要が根強い状況です。政策の方向性が政権によって変わりやすい点も、EV普及のスピードを鈍らせています。

こうした中、ホンダは「2040年に新車をすべてEV・FCVにする」という従来方針を撤回し、HVの強化へ舵を切りました。この背景には、急速なEV投資が収益を圧迫したこと、そして市場の実需が政策目標に追いつかなかったことがあります。

EUは2035年にガソリン車の新車販売を禁止する方針を掲げていましたが、2023〜2025年にかけてEV需要が鈍化し、各国で補助金縮小や消費者の慎重姿勢が顕著になりました。その結果、欧州委員会や主要国は「HVや合成燃料車も一定程度認める方向」へ政策を修正し、EV一辺倒の姿勢を緩和しています。

今後は中国と欧州が電動化を牽引しつつ、日本やアメリカのようにガソリン車・HVが一定の支持を維持する市場も並存していくと考えられます。