01 IGES 【あいじぇす】

異なるCADシステム間で、2次元および3次元データをやり取りをするための標準ファイル形式として、ANSI(米国国家規格協会)によって規格化されたデータフォーマット。Initial Graphics Exchange Specificationの略称。

1979年にアメリカ空軍によって初めて策定され、以来、CADデータ交換の標準的な形式として広く受け入れられている。

IGESファイル形式は、2次元図面データから3次元アセンブリデータまでを扱うことが可能で、データ変換に広く利用されている。曲線や曲面などの幾何学的データだけでなく、色や注釈などの非幾何学的データも転送することができる。CADデータ交換に最も一般的に使用されるファイル形式の1つ。


02 ACIS 【えいしす】

3次元モデリング機能を提供する米スペイシャル社(仏ダッソー・システムズ社が買収)のソリッドモデリングカーネル。3次元 CADのモデリング、解析、および可視化に使用される、3次元CADにおけるモデリングカーネルの1つ。ソリッドモデルベースの3次元 CADにおいては、ソリッドモデリングカーネルが中心的な役割を果たす。3次元モデルの実体を表現するためのライブラリとして機能し、設計者が意図した通りの形状を正確にモデリングすることをサポートする。

オートデスク社のAutoCAD、スリー・ディー・エス社のAlibreDesignなどに使用されている。

ACISを組み込んだアプリケーションなら、ACISネイティブファイル形式であるSATをインポート/エクスポートできる。

*モデリングカーネル:CADソフトウェアに3次元モデリング機能を提供するソフトウェアコンポーネントのこと。


03 STL 【えすてぃーえる】

STL は3次元形状を表現するデータを保存するファイルフォーマットのひとつ。Standard Triangulated Languageの略称。名称の由来は光造形法を意味する Stereolithography 。STLファイル (.stl) は、データを小さな三角の集合体で表現する中間ファイルフォーマットである。

3Dプリンタなどにおけるデファクトスタンダードとして有名なフォーマットである。3Dプリンタを使うときは、3次元 CADデータをSTLファイルに変換してから3Dプリンターに読み込ませる。


04 オブジェクトモデル 【おぶじぇくともでる】

プログラムがオブジェクトやクラスという単位でデータや処理を表現し、それらの関係性や振る舞いをモデル化する手法が、「オブジェクトモデル」。オブジェクトモデルは、プログラムが特定のサービスやシステムに対してオブジェクト指向のインタフェースを提供することで、プログラムの柔軟性や再利用性を高めることができる。例えば、ウェブページの構造をメモリー内に表現するドキュメントオブジェクトモデル (DOM) がある。


05 回転曲面 【かいてんきょくめん】

線分または曲線をある軸の周りに回転することによって得られる曲面。

この曲線は回転曲面を生成する母曲線あるいは母線と呼ばれる。回転曲面は、円柱面、円錐面、双曲面、楕円放物面などがある。数学や物理学、工学などの分野で応用されている。



06 CAD 【きゃど】

「CAD」は、Computer Aided Designの略で、コンピュータ上で設計や製図を行うツール。CADには、2次元の平面図を作成する2次元(2D)CADと、立体像のモデリングで曲面や複雑な形状も可視化できる3次元(3D)CADがある。


07 CAM 【きゃむ】

コンピュータを利用して製造工程を合理化、自動化しようとするすべての技術を示す概念。「CAM」は、Computer Aided Manufacturingの略で、コンピュータ支援による製造という意味を持つ。一般的に、CADなどで作成された設計情報と製品生産計画情報をもとに、対象品を製作するための工作機械での加工に必要なNCプログラムなどNCデータを作成するシステムのことをいう。

CAMソフトウェアは数値データで表された設計図などを読み込み、NC(数値制御)/CNC(コンピュータ数値制御)工作機械を制御して図面に示された形状に加工する命令の並び(NCデータ/NCプログラム)を出力することができる。CADと同様に、CAMも工業製品などの製造現場で利用されている。


08 形状モデリング、幾何モデリング、形状処理 【けいじょうもでりんぐ、きかもでりんぐ、けいじょうしょり】

コンピュータ内部に形状モデルを生成、表現、または制御したり、それらに対する操作を行うための技法。

「形状モデリング」、「幾何モデリング」、および「形状処理」の技法は、CAD(Computer-Aided Design)やCG(Computer Graphics)などの分野で広く使用されている。

幾何モデリングは、形状モデルを表現するための技法。形状処理は、形状モデルを操作するための技法であり、形状モデルの変形、分割、結合、およびその他の操作を実行することができる。


09 サーフェスモデル 【さーふぇすもでる】

3次元グラフィックスで立体を表現するモデルの一つで、立体の頂点と頂点とを結ぶ稜線と面(シート)で形状が表現されているモデルのこと。この方式で表現された図形データは、CGの分野で最も広く普及している。

しばしば「張り子」や「張りぼて」と形容される。ワイヤーフレームモデルやソリッドモデルと比較されることがあるが、ワイヤーフレームモデルは、立体を線で表現する手法。ソリッドモデルは、立体の中身が詰まっているため、体積や重心などの幾何情報の計算が可能。


10 CLデータ 【しーえるでーた】

CAMから出力される工具の動きなどを記述したデータのことで、CLとはCutter Locationの略。NC自動プログラミングシステムから出力される工具の動きなどを記述し、NC工作機械用のNCコードが生成される。

CLデータはツールパスとも呼ばれ、NC工作機械で製品を加工する際に、切削ツールがたどる経路をコード化したもの。


11 Gコード 【じーこーど】

一般的には、NC工作機械に指令を送り、ワークの加工が行えるようになるためのNCパーツプログラムの1つ。具体的には、パーツプログラムの座標などを定義するコード。

「アドレスキャラクタ」と呼ばれるGのアルファベットと、後ろにつく2桁の数値を表示させることで、指令が送られる。G00からG99までで100種類の指令を与えることができる。

CNC 機械の動きを制御し、部品の製造時にどこから開始するか、どのように移動するか、いつ停止するかを機械に指示する。NC工作機械の内部設定を処理するためのコードであり、そのため、Gコードのことを、「準備機能」と呼ぶケースもある。

NC工作機械において、よく使用されるGコードについては、一覧表が公開されている。


12 CIM 【しむ】

製品企画から設計、製造、販売、保守までの生産に関するあらゆる活動を、コンピュータ技術を使用することによって一つのシステムに統合しようとする考え方。Construction Information Modelingの略称。


13 STEP 【すてっぷ】

CAD/CAMのデータを相互に交換するために、製品モデルとして設計データの形式と意味を定義するISOの規格およびその開発活動のこと。

3次元モデルファイルの一種で、製品データ交換の標準を表す。このISO標準交換形式は、さまざまなソフトウェアアプリケーションで表示できる形式で3次元データファイル(CADファイルなど)を配布するために使用される。

STEPファイルは、基本的な形状だけでなく、高い精度を得るために必要な3次元モデルの完全なボディを読み取り、保存できる。すべての3次元モデルデータは、さまざまなCADシステムで解釈できるテキストで保存される。 このように、STEPファイルは、3次元モデルの作成、共有、編集が容易にできる重要なプログラムである。


14 スプライン曲線・曲面 【すぷらいんきょくせん・きょくめん】

特定の連続性の条件を満たすように接続した曲線分の集まりとして定義付けされる曲線。任意に設定された複数の点の間を、その区間ごとに多項式やベジエ関数で表し、滑らかに結ぶための関数。CADやCGなどの形状設計やモデリングにおいて広く使われている。


15 ソリッドモデル 【そりっどもでる】

3次元形状を、その形状の占める空間があいまいでなく規定されるように表現した形状モデル。略してソリッドともいう。

3次元グラフィックス(3DCG)で、立体の形状をデータとして表現する方式の一つ。対象を中身の詰まった物体として表したもの。立体の形状をデータとして表現するため、体積や重量、重心などを求めたり、立体同士を組み合わせたりすることができる。

3次元モデルの作成、共有、編集が容易にできるため、CADソフトなどを用いた工業製品の設計や、科学研究や技術開発のシミュレーションなどで利用される。工業製品の設計や、科学研究や技術開発のシミュレーションなどで利用される重要なプログラム。



16 DXF 【でぃーえっくすえふ】

Autodesk社のCADソフトウェアである「AutoCAD」の図面データのファイル形式の1つ。Data Exchange Format。AutoCAD(R)で使用されるファイル形式およびファイル拡張子。

AutoCADの異なるバージョン間に互換性を持たせるために策定されたファイル形式であり、その内部仕様が公開されているという特徴がある。多くのCADソフトで対応されており、業界のデファクトスタンダードとなっている


17 DNC 【でぃーえぬしー】

NCプログラムを転送するソフトウェア。複数のNC工作機械を1台の管理用コンピュータで統括的に制御する方式である「Direct Numerical Control」の略称。

1台のPCから複数のCNC工作機械に転送が可能で、工作機械からPCへの転送も可能なソフトウェアもある。


18 DWG 【でぃーだぶるじー】

Autodesk社のCADソフトウェアである「AutoCAD」の図面データのファイル形式の1つ。AutoCAD(R)で使用されるファイル形式およびファイル拡張子。標準ファイル形式であり、その内部仕様は非公開。DWGは、AutoCADを用いて作成された図面データを共有するために広く使用されており、業界のデファクトスタンダードとなっている。


19 トポロジー 【とぽろじー】

コンピュータ内に表現された3次元形状を構成する頂点や稜線、面などの形状要素の相互の結合関係のことで、形状モデル表現の重要な情報。


20 トリミング 【とりみんぐ】

形状の一部を削って修正する操作。


21 NURBS 【なーぶす】

非一様で、かつ、有理なB-スプライン関数。または、その関数を係数関数とする曲線または曲面。

Non-Uniform Rational B-Splineの略。コンピュータグラフィックスで一般的に採用される数学的モデルで、曲線や曲面を生成するために用いられる。ベジェやB-Splineなどの曲線・曲面をより一般化したもので、円・円弧・楕円・楕円弧などの円錐曲線や球面・円柱面・円錐面などの曲面を近似なしに正確に表現することができる。

その柔軟性と正確性からモデリング用の形状にも、解析的な用途にも向いている。CADやCAM、CAEで一般的に用いられており、IGES、STEP、ACIS、PHIGSなど数々の世界標準に採用されている。

また、コンピュータグラフィックスソフトやアニメーションソフトウェアパッケージにも採用されていることがある。

*PHIGS:Programmer’s Hierarchical Interactive Graphics Systemの略。階層データを扱うことができるグラフィックスライブラリー規格の1つ。


22 Parasolid 【ぱらそりっど】

米EDS社(現米ヒューレット・パッカード社)が開発したソリッドモデリングカーネル。ダッソー・システムズ社のSolidWorks、シーメンスPLMソフトウェア社のNXなどに使用されている。


23 パラメトリック曲線・曲面 【ぱらめとりっくきょくせん・きょくめん】

1次元の広がりをもつ曲線を1つのパラメータ(変数)で、2次元の広がりをもつ曲面を2つのパラメータによって表現する手法。現在の3次元CADの自由曲面は、一般にパラメトリック曲面で表現されている。パラメトリック曲線・曲面には、Bezier曲線・曲面、B-スプライン曲線・曲面などがある。

パラメトリック曲線は、CADやCAM、CAEで一般的に用いられており、ベジェ曲線やBスプライン曲線などの曲線・曲面を生成するために用いられる。パラメトリック曲線は、制御点により定義され、制御点を編集し移動することによって曲線形状を変化させることができる。


24 PLM 【ぴーえるえむ】

正式名称はProduct Life-Cycle Management。製品のライフサイクル全般(研究、開発、生産、販売、回収リサイクルまで)を対象として全体の最適化を図ろうとする管理手法。

製品の企画・設計・生産・販売・廃棄までの一連の工程における情報を管理し、製品の品質向上やコスト削減、業務効率化などの効果をもたらす。

PDM(Product Data Management)とは異なり、製品のライフサイクル全体を管理することができる。CADやCAM、CAEなどのツールと連携して使用されることが多く、製品の設計や開発、製造、販売、保守などの工程において、情報の共有や一元管理を実現する。製品の品質向上やコスト削減、業務効率化などの効果をもたらすため、製造業界で広く導入されている。



25 B-スプライン曲線・曲面 【びーすぷらいんきょくせん・きょくめん】

順序付けられた点の1次結合として表現された曲線式において、B-スプライン関数を係数関数として用いた曲線。

複数の制御点とノットベクトルから定義される滑らかな曲線で、隣接する「次数+1」個の制御点が使用され、基底関数によって、各制御点の座標値の寄与度 (重み)を計算座標に振り分けることにより生成される。

1次以上の次数で曲線が構成されるため、ベジェ曲線よりも柔軟性がある。コンピュータグラフィックスのエリアで広く用いられ、制御点の一部を変更しても全体に影響が及ばない、生成された曲線は必ずしも制御点を通らない、曲率が連続であるという特徴がある。

*ノットベクトル: B-スプライン曲線やNURBS曲線などの形状表現手法において、曲線や曲面を構成するためのパラメータの集合のこと。


26 PDM 【ぴーでぃーえむ】

正式名称はProduct Data Management。製品に関するさまざまな情報を一元的に管理することで高い生産性を実現する、生産管理概念である。

CADデータやBOM(部品表)など、製品に関するデータを一元管理することで、設計部門とほかの部署間での情報共有や連携をサポートし、生産性の向上を実現する。製品開発におけるアイデア出しから市場へのリリース、そして生産終了までのすべてのフェーズを管理することが役割。


27 VR 【ぶいあーる】

正式名称はVirtual Reality。主にコンピュータ技術を用いて人工的な環境を作り出し、人間の視覚や聴覚を刺激することであたかも現実かのように疑似体験させる技術のこと。「仮想現実」とも訳される。

専用のゴーグルを使って、360度の映像を見ることで、まるでその場にいるかのような没入感を得られる技術でもある。視聴型と参加型の2つのタイプがあり、視聴型は、3D映像を見るだけだが、授業や医療の支援などに活用されている。

一方、参加型のVRでは、映像内を自由に歩き回ったり、映像内のものを触ったり動かしたりすることができる。VRは、エンターテインメントからビジネス、医療まで幅広く活用されている。


28 VRML 【ぶぃあーるえむえる】

正式名称はVirtual Reality Modeling Language。3次元データをWebブラウザ上で表示するために考えられたデータフォーマット。「仮想現実モデリング言語」と訳される。

テキスト形式で保存され、ヘッダ、コメント、ノード(フィールド)、プロトタイプ、ルートの5つの要素から構成される。VRMLファイルでは、3次元ポリゴンの頂点および辺の座標、面の色、UVマッピングされたテクスチャ、光沢、透明度などを指定できる。

また、URL指定によってインターネット上の別の場所にある画像やVRMLファイルを指定できる。VRMLファイルを閲覧するVRMLブラウザには、Cortona VRML Client、blaxxun Contact、PivoronPlayerなどがある。

Web上で3次元画像を構築するためのマークアップ言語であり、3次元空間を容易に記述できるという点から注目されている。


29 Bezier 【べじえ】

自由曲線の表現形式。ベジェ曲線とも呼ばれる。指定した二点間を結ぶ滑らかな曲線を算出する計算手法の一つ。「制御点」と呼ばれる複数の点によって定義される。シトロエン社のド・カステリョとルノー社のピエール・ベジェにより考案された。

Bezier曲線の両端の点は両端の制御点に一致し、制御点から比較的容易に曲線の形状を推測しやすい。干渉計算や2曲線間の交点を求める時のラフチェックが容易にできる特徴があるが、複数の曲線間の連続性を保つことが難しい。Bezier曲面は、Bezier曲線を拡張したもので、ほぼ同様の性質をもつ。

N個の制御点から得られるN-1次曲線であり、コンピュータ上で滑らかな曲線を描くのに広く利用されている。2次だけでなく、3次ベジェ曲線までサポートされていることが多く、始点と第1制御点を結ぶ線分が始点における曲線の接線になり、第2制御点と終点を結ぶ線分が終点における曲線の接線になるため、直感的に理解しやすい。

また、始点と第1制御点の距離によって始点付近の曲率が制御できるため、作図を行うソフトウェアで手作業により曲線を描く際に線の形を整えやすい。


30 レンダリング 【れんだりんぐ】

3次元形状の描画において、明るさ及び色を付与して、現実に近い質感を与えること。

何らかの抽象的なデータ集合を元に、コンピュータプログラムが一定の処理や演算を行って画像や映像、音声などを生成すること。

3次元コンピュータグラフィックスにおいて数値データとして与えられた物体や図形に関する情報を計算によって画像化することを指すことが多い。

また、WebブラウザがHTMLやCSSによるページ内容の記述、スクリプトによる動作の記述、画像ファイルやフォントファイルなどの外部データを組み合わせ、一枚のWebページを画面上の表示領域内に描画することも「Webレンダリング」と呼ばれる。

レンダリングを行うためのソフトウェアや装置、システムなどのことを「レンダラー」(renderer)あるいは「レンダリングエンジン」(rendering engine)ということがある。


31 ワイヤーフレームモデル 【わいやーふれーむもでる】

面や立体の概念をもたず、線の組み合わせのみで構成されたモデルのこと。立体形状を頂点と線で結んで表現されたモデル。この方式を利用して3次元形状を作るCADはないが、形状をイメージする設計の初期段階で、ワイヤーフレームを用いる場合が一般的。

データ量が少ないため表示速度に優れている。基本的に面は描画しないため、形状を見通すために多用される。Webサイトのレイアウトをシンプルな線や枠で表現した設計図のことも指します。